episode17 おじさん

みなさん、こんにちは。
みなさんは怖い話はお好きですか?
このブログでは、私Cozyが実際に体験した恐怖体験、不思議な体験話。
そして私自身があまりのポンコツで在るが故にしでかした数多くのあり得ないほどの失敗談を書いております。

さて、今日のお話ですが、ある意味で人生の転機になったと言っても過言ではない”ある出会い”について書いていこうと思います。

この話は今の会社に入る少し前のことで、まだ将来の青写真すら描けていない、このブログのテーマである人生の根幹がまだまだブレブレだった頃のことでございます。

30歳で牽引免許を取得して、トレーラーに乗るも、目の病気をきっかけに降りることになりました。(病名を詳しく書くと長くなるので割愛します)
レーザー手術で、症状は治まりましたが、視力が低下したので、運転手以外の選択をすることにしたんですが、運転手以外では多少の営業経験しかなく、ハローワークや求人情報紙で見る稼げる仕事の多くはいわゆる”飛び込み営業”がほとんどでした。
もちろんこの種の仕事で稼げる人はいるとは思いますが、なんとか頑張ろうと何社かチャレンジしましたが、結局どれも向いておらず職種を変えた営業でも食べていくことはできませんでした。
そんな時、大手の引っ越し会社では営業と運転手を選択できるということを知って、ある引っ越し会社に入りました。
仕事を覚えるためドライバーをしながら徐々に営業もしていって事務所に上がる、営業専門、ドライバーを続けるという感じだったでしょうか。
入ってわかったことですが、営業専門でも給料はそんなに高くないということを知り、半ば諦めていたある日、その日は2トン車で荷物の敷地内移動の仕事で、あるご家庭に行った時のことです。
洋ダンスや和ダンス、立派なサイドボードなどを依頼主の女性に言われた通り各部屋に移動させ、あらかじめ車庫に出されていた不要品回収のソファーや小さなテーブルなどをトラックに積み込み、最終確認のため依頼主の女性にサインをしてもらおうと玄関に向かうと、ガラスケースに入った2隻の船の模型が目に入りました。
女性を横目に、その船の模型をよく見ると手前の船は”VICTORY”と書いてあり、女性に「帆船ビクトリー号の模型、カッコいいですね!」と言うと、女性はニコっと微笑みながら「あら?お詳しいですね!良かったら差し上げますよ♪」と。
立派に見えるその模型は、今の僕や住んでいる部屋にはとても似つかわしくないと思ったので、丁重にお断りしようとしました。しかし「荷物を極力減らしたい、この模型の良さがわかる人になら譲りたい」とおっしゃられるので、結局その模型をありがたく頂くことにしました。

仕事を終えてガラスケースに入った船の模型を両手に抱え持ち帰ると、案の定、怪訝そうな表情をした奥さんを前に、そこまでの経緯を話しました。納得したとまでは言えなかったけれど、何とか無事に部屋におくことができました。

異変は、わりとすぐに始まりました。
それからというもの、時折部屋に小柄な男性らしき人がいる・・・白髪で質の良さそうなカーディガンを羽織った品の良さそうな、いかにも裕福そうなおじさんの姿を見かけるようになったのです。
そのおじさんは、誰かを驚かそうとするわけでもなく、優しい表情で現れました。
だんだん”ひょっとしたらこのおじさんは、模型の持ち主だったのかな”なんて考えるようになりました。

その当時は、お金にも気持ちにも今以上に余裕がありませんでした。
そのおじさんが現れる・・・というより、その模型を引き取ってからですが、人からの紹介で少しずつ稼げる、自分が思うような仕事への転職を重ねることが、不思議とできるようになっていったんです。

今の会社にも友人を介して入社しました。
少しずつ余裕を持てるようになりました。
そして、今住んでいる家を建てることができました。
僕にとっての、ラッキーアイテム(家宝のようにすら感じる)である船の模型はガラスケースから出して玄関に飾ることにしました。
入居して2~3年程まででしょうか。
穏やかな感じのあのおじさんを、玄関でたまに見ることがありましたが、そこから数年が経つ頃には見かけることはなくなりました。
もしかしたら、あのおじさんが大切にしていた模型を引き取ったことが嬉しかったんでしょうか。ずっと大切にしてもらえる状況になるまで僕を引き上げて、そしてお役御免となって本来いるべき場所に帰っていかれたんでしょうか?

この船の模型は、もちろん今でも玄関に置いてあり、大切に飾っております。
本当の価値は解りませんが、僕にとっては大切な宝ものです。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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